COLUMN

菌床ブロックの保管・成熟について

いつも弊社HPをご覧いただきありがとうございます。

”ブロックを購入しボトル詰めしたところ、上手く菌が廻りません…。”

↑これ、よくある質問です。
時には汗だくの作業になるボトル詰め作業の2次発菌が失敗って本当につらいんですよね…。
環境や詰め作業の方法等に左右される部分も多くあるので一概にはお答えできませんが、よくある要因としてブロックの成熟不足が考えられます。
そこで今回は菌床ブロックの保管・成熟にスポットを当て、弊社で実施している方法を記事にしてみます。
ここを注意するだけでボトル加工の仕上がりが随分と変わってきますので、参考にしていただければ幸いです。

※これがすべて正解というわけではありませんが、あくまで一例としてご参照ください。

菌は生きている

まず大前提として菌床ブロック=生き物であることをご認識ください。

生き物である以上、暑かったらバテます。寒かったら活動が鈍くなります。
お手元に届きましたら、空調の効いた部屋で少し休ませてあげてください。
弊社も発送時になるべく負担の掛からないように梱包方法や時間配分など注意していますが、輸送中の振動や温度変化でどうしても菌は疲れているんです。

特にお手元に到着して直ぐの使用は菌が不安定であり、2次発菌の失敗リスクが非常に高くなります。
詰め作業の前にはブロックを空調の効いた部屋で保管し(最低24時間)菌を休ませて下さい。

管理温度は一定で

管理温度は菌種ごとに厳密には違ってきますが、20~27℃の範囲なら問題ありません。そして、範囲内でなるべく一定の温度になるように安置しましょう。

過去にユーザー様から、「空調部屋で保管していたブロックを使用し詰め込んだボトルが腐敗した」とお問い合わせいただいた事があります。
ところが同一ロットのブロックを使用された別のユーザー様や弊社ボトル加工使用では、そのような不具合が無かったのです。

そこで保管状況のヒアリングを行ったところ、ブロックおよび詰め込みボトルを空調の効いた部屋の窓際に安置されていたことが分かりました。
この時が真夏ということもあり、温度変化の大きい窓際で、時間帯によっては直射日光にさらされていたブロック・ボトルが異常発熱していたと思われます。

弊社が考えるには、粉砕前のブロック温度が高温になり菌バクテリアがすでに弱っていた。
更に粉砕しボトル詰めを行い、弱いながらも再生発菌を開始し、内部発菌温度+外部気温=激高温
菌自体が瀕死の状態でこの様な状態になったと考えております。

部屋はエアコンで適正温度であっても、安置場所によっては発菌にムラが起こる場合もあります。
可能であればサーキュレーター等を使用して、室内の温度ムラを無くせればベターです。
そして、温度変化の大きい窓際や出入り口付近、直射日光の当たる場所での安置は避けてください。

また、ボトル加工後はすぐに23~25℃程度の保管を行ってください。高温状態のブロックは使用しないで。
全てではないのですが、上記の様な不具合が発生する事があるとご認識ください。

ブロックを成熟させる

冒頭でも説明しましたが、到着して直ぐは菌が不安定となります。
特に菌床ブロックは新鮮な1次発菌の状態で発送しており、ご注文のタイミング次第では出来立てで到着する場合もあります。
※ボトルは手詰め2次発菌となり菌の活動も安定しています。菌成熟は不要で到着後は休ませるだけで大丈夫です。

2次発菌の失敗を抑制するために、ブロックを粉砕する前には成熟具合を確認してご使用ください。
ビギナー様の場合、ブロックの成熟具合の見定めは難しいと思いますが、基本的には外被膜状況ブロック温度安置時間で判断できます。

今回はG-ZEROブロックを例にしてみましょう。(室温24℃固定)
工場から仕上がった状態から使用可能と判断されるまでを写真で解説します。
※同じ環境で撮影していますが、写真だけでは解りづらい部分もあると思います。ご容赦ください。


検証開始
今回の検証ブロックはまさに工場から仕上がってきた出来立ての状態です。
全体的に外被膜が薄くオガの茶色部分が多く確認されます。
ブロックを掴むと、柔らかく崩れやすそうなことが確認できると思います。
ここから室温に慣らし、菌の様子を確認していきましょう。


24時間経過
菌が室温に慣れ、活動が活発になっています。
全体的に白みがかってきている事が分かり、表面に触れるとほんのり温かみを感じると思います。
この時は特に温度変化や振動を与えずに、菌に刺激を与えないよう注意しましょう。
菌の勢いが急激に強まり茸が発生しやすくなります。


72時間経過
全体的に白みが強くなり、菌の活動も落ち着き始めました。
この辺りからブロック内部のオガも菌の再生により、崩した時の茶色みが薄れ始めてきていると思います。
この状態で崩して2次発菌も可能ですが、もう少し成熟させた方が2次発菌の仕上がりが早く確実です。


1週間経過
ここまでくればまず問題なく使用できます。
全体的に白く、菌が十分に蔓延しブロックが硬くなっており、表面温度も室温と同等になっています。

まとめ

ボトル詰め作業前のブロック保管・成熟について、弊社では上記のように実施しています。
今回の記事では、よくある事例として菌床ブロックの保管・成熟にスポットを当てて解説しましたが、これはあくまで一例にすぎません。
冒頭にも記載の通り菌床ブロック=生き物となります。生き物相手である以上、様々な要因に左右されてしまいます。
多くの見解がある事をご理解いただいたうえでご参考にしていただければ幸いですが、基本的な菌床商品の取扱を熟知していただけていれば問題はないと思います。

また、これとは別にボトル詰め作業のポイントもいくつかありますが、それはまた次の機会に。